関西出張記③

出張2日目は京都の川島織物セルコン市原工場から一路、
新幹線と在来線で1時間半ほどかかる某県某市へ。
そこには、当店が形状記憶加工を依頼している加工所があります。

メーカー等の資料には、
形状記憶加工とはポリエステルの熱可塑性を活かしてどうのこうの…
と難しいことが書いてありますが、ざっくりと言いますと、
『プラスチックに火を近づけると溶けて、冷めるとその形で固まる』という現象の繊維版です。
ただし繊維に火を近づけるワケにはいきませんから、熱した水蒸気を当てるのです。
形状記憶加工がアイロンや乾燥機に弱いのも、
熱で変形したプラスチックにもう一度熱を加えるとまた変形してしまうのと同じです。
もともとはアパレル業界がスカートのプリーツに使っていた技術で、
カーテン業界の先駆けは旧セルコンの『ファンタスプリーツ』です。
ウエーブでもドレープでもなくプリーツとしたのは、
アパレル業界がこの技術をプリーツ加工と呼んでいた影響かもしれません。

さて、例によって企業秘密(当店ではなく加工所の)為、写真はありません。
想像力を働かせて読んで下さい(またか!!)
まず直径約1m、長さ約4m程の鉄製の筒が横たわっている姿を想像して下さい。
その筒の蓋部分をグッーと引くと、
蓋と一緒に何層にもなったメッシュ状のプレートが長さ分(約4m)出てきます。
そこにカーテンのようにドレープ状になった型紙に挟まれた生地を載せます。
プレートを筒の中に戻して1時間ほどすると、形状記憶加工の出来上がりです。

上の文章で困らなかった方は、間違いなく形状記憶の釜を見たことがあるはずです(笑)。
それから、『長さ4m』に反応した方は間違いなく業界人でしょう。
通常カーテン業界で使用されている釜は3mで、4mは非常に珍しいのです。
この1mのプラスが私にとっては大きな安心材料でもあります。
加工所の方の話だと、単に温度設定をして生地を釜から出し入れすれば良いのではなく、
そこには様々な知識と経験が必要なのだそうです。
始めたばかりの頃は何度も痛い目を見て、
その度に原因の追究と勉強を重ねてきたとおっしゃていました。
発注書に『形状記憶加工付』と書けば、当たり前のように出来上がってくる陰には、
加工所の方の日々の努力があるのです。

しかし、この加工はまだまだ研究の余地がある技術です。
とにかく難点は融通が効かないこと!
25㎝もしくは22.5cmの型紙を使っていますが、逆にこれ以外のピッチ感覚はできません。
この倍数以外の仕上がり巾の場合、どうやって対応するのかという知識も必要です。
また、ヒダの形状が決まってしまいますので山のつまみ位置も自然と決まります。
川島セルコンがフィーロ縫製を発表した時に最も驚いたのは、
この融通の効かない形状記憶加工を前提にしながら、
インター(はぎ合わせ)をヒダ山の裾に限定した点です。
これはスゴイことだと思います。

さて、写真も無いのに長々と一般の方には面白みの無い話をしましたので、
最後に夜の京都タワーをどうぞ。
(いらないっちゅーの!)

 
京都タワー

窓際のサイトー について

厚木市のオーダーカーテン専門店+PLAN(プラスプラン)オーナーの斉藤です。単なる生地の組み合わせではない、専門店ならではのプランニングをご提供します。ブログでは、そんな私とスタッフの日々の仕事ぶりを綴っています。
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